(07)タワマンが出てくるまで

 


【このブログでわかること】千歳烏山の再開発を実際に進めている事業者が誰で、その事業者が過去にどんな建物を作ったか

前回(06)の最後で、次回はこの再開発を進める事業協力者について見ていくと予告しました。今回は、その事業者が過去にどんな建物を手がけてきたのかを見ていきます。

まず結論から言うと── 千歳烏山駅前南地区の再開発を進めて


いるのは
三井不動産レジデンシャル株式会社です。そして、この会社が別の駅前で手がけた「パークシティ武蔵小山 ザ タワー」(東京都都市整備局・武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業)(左写真)と、千歳烏山で今検討されている計画は、容積率・高さ・戸数までよく似ています。しかも準備組合は、事業協力者を選ぶ前から、視察先としてこの武蔵小山を選んでいました。

地権者が選んだ「4つの手法」から準備組合設立まで

2014年(平成26年)〜2015年(平成27年)頃、地区内の地権者らは「現況のまま」「共同化」「区画整理」「再開発」の4つの手法を検討し、「再開発」が最多で選ばれました。ただし全員一致ではなく、再開発をどんな手法で進めるかも未定。

2015年度(平成27年度)に「南側地区まちづくり勉強会」が設立され、2018年(平成30年)には先行事例として調布駅北第1A地区・府中駅南第一地区を視察。(ここは高さが60m以下)

2019年(令和元年)からは駅前広場を含めた再開発の検討も始まりました。こうした準備を経て、2022年(令和4年)12月、地権者の約7割が加入した「市街地再開発準備組合」が設立され、事業協力者の募集が始まりました。

選定基準は「資金協力を惜しまないこと」

2023年(令和5年)1月、準備組合理事会は先行事例地区(調布駅北第1A地区)を再訪してヒアリングしたうえで、事業協力者の選定活動を行いました。選定基準は「実績」「事業の最後まで一緒に汗をかき、地権者主体の活動を支援してくれること」、そして「準備組合への資金協力を惜しまないこと」の3点でした(準備組合ニュース2号)。

2023年(令和5年)3月、事業協力者の第一候補だった三井不動産レジデンシャル株式会社・三井不動産株式会社が選ばれました。(三井不動産レジデンシャル(株)は数多くのタワーマンションを手がけています)

2023年(令和5年)3月29日の臨時総会では、想定される協定内容として、費用を無利子で立て替える資金協力有資格の事務局員を無償派遣する体制協力都市計画・施設計画設計・保留床処分・商業運営等を無償支援する技術協力という3本柱が示されています(準備組合ニュース4号)。

2023年(令和5年)5月18日に正式に事業協力協定が締結され、同年6月には三井不動産レジデンシャルから事務局員7名以上が準備組合に派遣されました。資金も、人員も、技術も、事業のあらゆる面を一つの事業者に頼る体制です。これで「地権者主体のまちづくり」と言えるのか・・・

視察先に選ばれていた「武蔵小山」

2023年(令和5年)9月頃、準備組合理事会は先行事例地区として武蔵小山パルム駅前地区(パークシティ武蔵小山・ザ・モール等)を視察し、当時のコンサルタント担当者と意見交換して、基本計画(案)の検討材料としました(準備組合ニュース9号)。

東京都都市整備局の記録によれば、この武蔵小山パルム駅前地区も、事業協力者は三井不動産レジデンシャルです。つまり準備組合は、自分たちがこれから協定を結ぶ(あるいはすでに結んだ)事業者が過去に手がけた物件を、モデルケースとして視察していたことになります。

数字で見る、二つの計画のほぼ"そっくり"な関係

項目千歳烏山(南側地区)武蔵小山パルム
現況都市計画素案説明段階(未認可)2019年(令和元年)9月竣工
敷地面積約8,900㎡7,418.67㎡
延床面積約89,000㎡75,000.01㎡
容積率700%(基準500%+200%上乗せ)700%(従前400〜500%→700%)
高さ最高約140m141.95m(最高144.95m)
階数34階+地下3階41階+地下2階
住宅戸数約600戸(区想定・未確定)624戸(確定)
総事業費未確定(一次資料に記載なし)約467億円
建築費の想定変動着工〜積算基準が2025年(令和7年)〜2026年(令和8年)着工2016年(平成28年)3月。指数ベースで2016年(平成28年)→2025年(令和7年)で3割強、実勢感覚では4〜5割程度上昇したとみられる(推測)
事業協力者三井不動産レジデンシャル・三井不動産三井不動産レジデンシャル、旭化成不動産レジデンス
設計・施工未定・未公表設計:日本設計/施工:鹿島建設

敷地の規模も、容積率も、高さも、近い数字です。

2025年(令和7年)4月、準備組合が世田谷区へ「準備組合案」を提出し、この中で初めて高さ140mという具体案が示されましたが、その数字がどこから導かれたのかを考えるとき、この武蔵小山との類似性は無視できるのでしょうか?

地域の実情から生まれた計画なのか

もちろん、似た容積率・高さになっていること自体が、即座に問題とは言えません。しかし、資金・人員・技術のすべてを一つの事業者に依存し、その事業者の“作品”を視察先に選び、その後に出てきた具体案が似通っているという流れを見ると、この計画が千歳烏山という土地の実情から積み上げられたものなのか、それとも既存の「型」を当てはめただけなのか、あらためて保坂区長の今回の都市計画(案)を問う必要があるのではないでしょうか。(都市計画案はビル設計図案とは異なります。あくまでも再開発ビルがはいる容器の大きさを決める基準のことです)

▼次回は、次回は世田谷区内でも下北沢駅周辺にはタワマンがありません。千歳烏山より繁華街である下北沢になぜタワマンができなかったのか調べてみましょう。






【参考】

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