(05)手続きはちゃんとやった、と言う役人と、知らない区民
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前回(04)の最後で少し触れましたが、区は「手続きは正式・正確にすべて行ってきた」と説明します。今回は、その「手続き」の中身を検証します。
まず結論から言うと── 都市計画法16条・17条が定める住民説明の手続きは、住民投票でも、住民の同意を得るための制度でもありません。
反対意見がどれだけ多く出ても、それだけで計画が止まることはなく、しかも区民が計画を実感できるようになる頃には、たいてい手遅れになっています。
「手続きは適正だった」という区の説明と、「知らないうちに決まっていた」という区民の実感が食い違うのは、この制度の設計そのものに理由があります。
住民説明の手続きは、法律で決まっている
都市計画を決定・変更するときに、住民へ説明し、意見を聴く手続きは、都市計画法16条と17条に定められています。両者の違いは、簡単にいうと、意見を聴く「時期」と「対象者」です。
16条 17条 段階 正式な都市計画案を作る前 正式な都市計画案を作った後 公開するもの 素案・地区計画原案など 正式な都市計画案 主な目的 住民意見を計画案の作成に反映する 正式案への最終的な意見提出機会を設ける 主な方法 説明会、公聴会、原案の縦覧など 公告・縦覧と意見書受付 意見提出者 手続きによって異なる 住民および利害関係者 縦覧期間 条例や手続きによる 原則2週間 次の段階 意見を踏まえて正式案を作成 意見書を付けて都市計画審議会に諮る 「同意」ではなく「意見を聴くだけ」
16条と17条は、住民投票や住民の同意を得るための制度ではありません。反対意見が多数提出されても、それだけで計画が中止されることはありません。
16条は正式な案をつくる前、17条は正式な案を都市計画審議会へ出す前の手続きです。そのため、計画を実質的に見直すには、16条より前の段階から区民が参加できることが重要です。
ところが、都市計画は書類や図面を中心に進められます。日々の生活に追われる区民が、行政の動きを常に確認し、専門的な資料を読み解くことは簡単ではありません。
多くの区民が計画を実感するのは、完成予想図が示されたときや、工事が始まったときです。しかし、その段階では計画が固まり、変更が難しくなっています。
気づいたときには、もう手遅れ
つまり現在の制度には、区民が計画を理解して意見を言える頃には、すでに手遅れという問題があります。
保坂区長は長年「情報公開と区民参加」を掲げてきました。しかし、都市計画の初期段階から、区民が分かりやすい情報を得て、計画づくりに参加できる仕組みが十分に整えられてきたとはいえません。「丁寧に対応する」「区民に寄り添う」という言葉だけでなく、実際に計画を見直せる段階で区民が参加できる制度が必要です。
同意が必要なのは「権利者」だけ
市街地再開発を前提とする都市計画では、権利者の同意状況が、事業を実現できるかどうかを判断する重要な材料になります。一方、周辺住民の同意は法的な条件ではありません。
そのため実際には、権利者の一定の合意をもとに計画が進みます。周辺住民の意見を聴く機会はあっても、住民の賛否を多数決で計画の決定に反映する仕組みにはなっていません。
千歳烏山駅前南地区の再開発でも、この構図は同じです。地権者の合意形成が優先され、駅前広場の遅れや高さ制限の撤廃について、周辺に住む区民の声がどこまで計画に反映されたのかは、あらためて検証が必要です。
【参考】
- 都市計画法第16条(公聴会の開催等)
- 都市計画法第17条(都市計画案の縦覧・意見書)
- 都市計画法第19条(市町村による都市計画の決定)
- 都市再開発法第14条(宅地所有者・借地権者の同意)
- 国土交通省「市街地再開発事業」(市街地再開発事業の制度概要ページ)
▼次回(06)では、この「権利者の同意」を軸に、2021年の都市計画変更が実際にどのように駅前広場と再開発を結びつけたのかを、具体的に見ていきます。
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